マースク、7―9月期 EBITDA83%減。業績悪化で1万人削減
デンマーク海運最大手マースクの2023年7―9月期業績は、EBITDA(金利・税引き・償却前利益)が前年同期比83%減の18億7800万ドル(約2800億円)となった。主力のコンテナ輸送での需要の低迷や運賃下落が響いた。業績悪化に対応するため、同社は全従業員の1割程度に当たる1万人の人員を削減する方針を明らかにした。
7―9月期の売上高は47%減121億2900万ドル、EBIT(金利・税引き前利益)は94%減の5億3800万ドル、最終利益は94%減の5億5400万ドルと大幅な減収減益となった。
事業セグメントのうち、コンテナ船部門などで構成する「オーシャン」の売上高は56%減の78億9700万ドル、EBITDAは89%減の11億3300万ドル。取扱量は前年同期から5%増えたが、アジア―欧州、北米、中南米航路を中心に運賃が下落し、EBITは2700万ドルの赤字(前年同期は87億ドルの黒字)に転落した。
売上高に占めるEBITDA率は14・3%と、前年同期の55・1%に比べて40・8ポイント下落した。
ロジスティクス部門の「ロジスティクス&サービス(L&S)」の売上高は16%減の35億1700万ドル、EBITDAは14%減の3億3900万ドル、EBITが47%減の1億3600万ドル。物量はほぼ前年並みだったが航空運賃下落などが響いた。
ターミナル事業は売上高が11%減の9億9900万ドル、EBITDAが10%減の3億5300万ドル、EBITが24%減の2億7000万ドルだった。
■人員削減で6億ドル
通期予想については前回公表値のEBITDA95億―110億ドル、EBIT35億―50億ドルを据え置く一方、予想の下限に近い業績を見込むとした。
コロナ禍以降市況が低迷する中、同社はコスト削減を推進。年初から既に約6500人のリストラに着手しているという。
今後数カ月で最大2500人、24年にかけて3500人を削減する計画で、これにより同年までに6億ドルのコストカットを見込む。
マースクのヴィンセント・クラークCEO(最高経営責任者)は「業界は需要の低迷や過去の水準に戻った運賃、インフレ圧力など新たな状況に直面している」と指摘。「組織と業務の合理化を継続的に進めながらターミナル事業とL&S事業での成長機会を追求し、顧客の多様なサプライチェーン・ニーズを満たすという当社の戦略に引き続き専心する」とした。