商船三井、SOV2隻目新造。台湾洋上風発向け、「アジア展開の布石」
商船三井は台湾合弁会社の大三商航運(TSSM社)を通じオランダ造船大手ダーメン・シップヤーズに、洋上風力発電のメンテナンス事業などに従事するサービス・オペレーション・ベッセル(SOV)を発注した。新造船はTSSM社にとって2隻目の台湾籍SOV。2025年末の竣工を予定し、台湾での洋上風力発電所の支援業務に投入される。商船三井は今回の新造プロジェクトをアジア地域でのSOV事業展開の布石とする考えだ。
商船三井とダーメンが22日までに発表した。SOV1隻の造船契約を21日、商船三井と台湾・大統海運の合弁会社TSSM社とダーメンが締結。ベトナム工場で建造する。
新造船「CSOV9020」は全長87・7メートル、全幅19・7メートル、計画喫水 5・3メートルで、最大120人を収容できる居住施設を持つ。洋上で安全に作業するため、自動船位保持装置(DPS)や船体動揺を吸収する機能を備えたギャングウエーも搭載。メタノール燃料船に改造可能なメタノールレディー仕様とする。
商船三井は昨年3月、アジア初の新造SOVとなる「TSS PIONEER」をベトナムの造船所で竣工。同船もTSSM社を通じて発注しており、デンマークの洋上風力発電大手オーステッドとの長期契約に基づき、台湾最大規模の洋上風力発電プロジェクトの保守・点検支援に投入した。
商船三井は今回の新造船で、「TSS PIONEER」で培ったSOVの操業経験を生かし、発電事業者や風車メーカー、建設事業者などに対して洋上での快適な宿泊設備を提供するとともに、本船から洋上風力発電所へ人員や物資の安全な移送を行う。
商船三井で風力発電事業などを担当する杉山正幸執行役員は「『TSS PIONEER』に加え、今回の新造SOVの操業を通じ、TSSM社の台湾でのSOVプレーヤーとしての地位を確固たるものにする。同時に、日本を含むアジア地域での商船三井のSOV事業展開の布石としたいと考えている」とコメントした。
TSSM社の林宏年董事長は「アジア初の専用SOVでの操業経験を踏まえ、グリーンエネルギー分野への貢献をさらに深めたい」とコメント。
ダーメンのアルノー・ダーメンCEO(最高経営責任者)は「数あるSOVビルダーの中から今回、商船三井・TSSM社に採用いただき光栄だ」と述べた。