NXHD、海外ロジ堅調、GBHQ成果。単価下落続くも海運は回復基調
NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は22日、国際事業の7―9月期(第3四半期)業績に関するオンライン会見を開催した。海外事業は全4リージョンが減収減益。航空・海運ともに物量減、単価下落が響いたが、海運については荷動きが回復基調を見せているという。また、ロジスティクスは東アジアを除き堅調な実績を残した。昨年のグローバル事業本部(GBHQ)設置で、ロジもグローバルに横串を通したことが奏功。アパレル、消費財などで新規案件を取り込むなど成果が出ており、2024年からさらに収益に貢献する見通しだ。
NXHDグローバル事業本部の名古屋輝明事業戦略部長、日本通運の金森祥之、安藤恒夫両執行役員が、グループの国際関連事業の業績を説明した。各事業の業績は表の通り。
名古屋事業戦略部長は第3四半期の海外事業について「昨年後半から続く欧米での金利上昇による設備投資縮小や、不動産問題を抱える中国の停滞などで、総じて荷動きは低調」と説明。海上フォワーディングの数量は対前年比で微増と回復の兆しを見せたが、航空は海運回帰の動きもあり前年同期比で17・5%減だった。
第4四半期(10―12月)の見通しは「景気悪化の影響から年末商戦に向けた市況の盛り上がりは想定しにくい。販売単価は欧米が現状維持、アジアは下落傾向が続く」と見通す。
一方、ロジ関連はアパレル、日用雑貨、モビリティー関連で堅調に推移している。名古屋氏は「GBHQ設立でロジスティクスも全世界的に強化を図っている。地域・産業ごとに強弱を付け、ビジネスを伸ばすポテンシャルを捉えながら取り組んできたことが、新規事業立ち上げなどにつながっている」と説明した。
■航空、10―12月は2割減も
日本通運の航空事業では第3四半期に前年の反動減に加え、海上輸送への回帰、運賃下落が響いた。輸出の混載重量は前年同期比20%減の4万8503トンだった。
地域別では、米州向けの取り扱いは33%減った。メキシコなど一部エリアで自動車関連のスポットがあったが、半導体関連の反動減が響いた。東アジアは20%減で、中国、台湾への半導体製造装置の需要が伸び悩んだ。南アジアは14%減で、インド、インドネシアへの自動車関連が前期に続き伸長したが、マレーシア、フィリピンの重量が低調に推移した。欧州は8%減となり、ベネルクス3国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)や北欧向けの自動車関連のスポットがあり、マイナス幅は1桁にとどまった。
輸入件数は、10%減の9万1364件。景気減退に加え、米州、アジア発を中心に海上便へのシフトが定着したことなどが需要を押し下げた。生鮮品も出荷規模の縮小が続いた。
第4四半期の輸出は一部エリアで自動車関連が好調だが、全体では1―2割程度の減少を見込む。輸入は1割程度の減少になると予想。パナマ運河の通航制限やアマゾン川の水位低下で、海上から航空のスポットに回る貨物は発生しているが、物量増は一時的とみている。
■海運、運賃適正化への動き
海運事業の第3四半期売上高は31%減で、特に輸出が48・1%減となった。
日本発輸出NVOCC(海上利用運送事業)取扱量は前年同期比7・5%減の5万6415TEU。ただ、9月は1万9972TEUで微増と、14カ月ぶりに単月実績が前年同月を上回った。米州、東アジア向けが増加したという。前月(8月)比では17%増となった。エリア別では米州向けが5%減の9641TEU、欧州向けが8%減の5931TEU、東アジア向けが9%減の2万2444TEU、南アジア・豪州向けが7%減の1万8399TEU。
1―9月累計は11%減の17万1478TEU。第4四半期も傾向は変わらず、通年でも2桁減となる見通し。
安藤執行役員は「日本発では、適正水準への運賃修復を図るという動きが出てきている。パナマ運河の渇水問題などもあり、北米向けでは一部船社で運賃が上昇している。輸出売上高は減少しているが、粗利率は12ポイント改善しており、これは仕入れ強化に取り組んできた成果だ」と説明した。
日本着輸入NVOCC取扱量は4%減の5万3720TEUだった。
港湾運送事業の売上高は3%減の116億円。コンテナターミナルでは中国新規船社部の増収もあったが、日韓・東南アジア航路が減少した。