コンテナ船、スエズ回避で運賃続騰。マースク、年末にも運航船被害

コンテナ船社のスエズ運河通航回避の動きを背景に、運賃の高騰が続く。上海航運交易所(SSE)のまとめによると、昨年12月29日付のアジア発地中海向け運賃は、20フィートコンテナ当たり3491ドルと、前週の1497ドルから実に2000ドル近くも急騰した。地中海向けのコンテナ運賃が1週間で1000ドル以上も値上がりするのは、SSEが運賃取りまとめを開始した2009年10月以来で初めて。北欧州向けや北米東岸向けも同様の上げ幅となった。主要船社ではマースクが早期のスエズ航行再開を打ち出していたが、昨年末に同社運航船が攻撃を受けたことで方針を転換したことも、市況に影響しそうだ。

 SSEがまとめるSCFI(上海発運賃指標)は12月29日付で1051ポイントとなり、22年11月以来の1000ポイント台となった。

 12月中旬まで地中海向けの運賃は1000ドル台半ばから上昇傾向にあったが、22日付で一気に2000ドルを突破。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による一般商船への攻撃を受け、過去に例のない幅で高騰した。

 地中海向け以外では、北欧州向けが20フィート型当たり2694ドル(前週比1197ドル増)、北米西岸向けが40フィート型当たり2553ドル(同577ドル増)、北米東岸向けは同3559ドル(同1006ドル増)。紅海・スエズ運河をルートとしていた地中海・北欧州・北米東岸向けの3ルートに加え、その余波によって北米西岸向けも大きく値上がりした。

■12月だけで7隻
 フーシ派によるコンテナ船への攻撃は未遂も含めて昨年12月だけで7隻に及んだ。

 米中央軍によると、12月31日早朝、紅海を航行中の「MAERSK HANGZHOU」からフーシ派の小型船4隻からの攻撃を受けているという救難信号を受信。米軍はヘリコプターにより反撃し、3隻が沈没。1隻が逃走したという。

 「MAERSK HANGZHOU」(1万5200TEU型、シンガポール)はマースクグループの保有船。2Mのアジア―地中海航路AE12・フェニックスに就航し、北アジアからスエズ運河に向けて航行中だった。

 マースクは今回の襲撃を受け、1月2日時点で紅海の航行を当面見合わせる判断を下した模様。マースクがまとめた、欧州航路、北米東岸航路など2Mのスエズ経由サービスの迂回(うかい)状況を見ると、5日時点では一部中東航路がスエズ経由となっていることを除き、喜望峰経由ないしTBA(未定)としている。

■さらに上昇の可能性
 年末にかけて急騰したコンテナ運賃は、スエズ運河回避の長期化により、さらに上昇する可能性もある。

 CMA―CGMは2日までに、15日からのアジア発地中海向けFAK(品目無差別運賃)を公表した。金額は東地中海向けが40フィートコンテナ当たり6200ドル、西地中海向けが6200ドル。12月上旬に公表した1月1日からのFAKレートは東地中海3200ドル、西地中海3000ドルだった。船社の配船次第では、運賃市況はさらに上昇する可能性もありそうだ。

引用至《日本海事報》2024年01月09日 デイリー版1面

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