商船港運、神戸KICTに重量物上屋。保税施設も移設、構内輸送で大幅効率化
【関西】商船港運(神戸市)は2月、神戸港・ポートアイランドの神戸国際コンテナターミナル(KICT)内に梱包もできる重量物上屋を新設し、供用開始する。併せて同じ敷地内に保税上屋の神戸フレートセンター(KFC)も移設、貨物の梱包からコンテナへのバンニング、ヤード搬入までを一気通貫で行う体制を構築する。未梱包の貨物を搬入すれば、あとは同一敷地内の構内輸送だけとなり、作業の大幅な効率化が実現する。同社によると、オンドックでのこうした仕組みは全国でも珍しいという。
KICT内に阪神国際港湾会社が建物を新設、親会社の商船三井が借り受けた上で、商船港運が運営する。KICT西側の敷地約2万4970平方メートルに重量物上屋と保税上屋を建設、1月に完工した。うち重量物上屋は延べ床面積2100平方メートル、軒下面積1200平方メートルで、天井クレーン30トン、15トン各1基と、5トン2基を備える。
一方、KICT内での移設となる新KFCは延べ床面積4200平方メートル、軒下面積2000平方メートル、接車バース16バースで、大小フォークリフトやリーチスタッカー、ベール&ロールクランプ、構内用低床シャーシを取りそろえる。
梱包もできる重量物上屋とKFCを同じ敷地内に併設する大きなメリットに、貨物の横持ちが不要となる点がある。荷主が未梱包の貨物を搬入後、重量物上屋で梱包し、そのまま構内のKFCでバンニングしてKICTのヤード内に搬入する流れだ。
敷地がKICT内となることから、ヤード搬入時にターミナルゲートを通る必要はなく、積み付け済みのコンテナを構内ヘッドで本付け場所に直接運ぶことができる。これにより、港湾の効率化や機能強化に貢献する。
横持ちをなくすことは、とりわけ大型の貨物にメリットが大きいという。オーバーゲージサイズの貨物などは神戸エリア内での横持ちだけでもコストがかさむが、今後同社は自前の低床シャーシを用いた構内輸送だけで対応が可能となる。
バンニング後のコンテナは輸出通関を経てKICTのヤード内に保管でき、円滑に施設を稼働させて効率を高められるのも特徴だ。輸出貨物がメインとなるが、輸入も対応する。
同社はKICTでの重量物上屋と新KFCの稼働で、特にプラント関連で潜在的なニーズがあるとみている。プラント物は貨物量が数千トンにも達するため、一気通貫サービスへの親和性が高い。
新設の重量物上屋の天井クレーンを30トン対応にしたのも、重量物やプラント物への対応力を高める狙いがある。オープントップ、フラットラックといったスペシャルコンテナへの積み込みで用いる。
これまで顧客層の大半が物流企業からの依頼で、実荷主の割合は約2割だった。KICTでの梱包・積み付け機能集約に伴い、同社はメーカーなど実荷主へのアプローチも強化する方針。
また、同社は環境戦略の一環として、コンテナターミナルを含むGHG(温室効果ガス)排出量削減を図るため、保税上屋、重量物上屋および今後新設されるバンプールゲート屋上に、メガワット級(1210キロワット)の太陽光発電施設を設置する方針で調整を進めている。
神戸港KICTは2025年、既存のPC15―17の3バースに同14を新たに加えて連続4バース化するとともに、共同運営体制も商船三井など4社に加え、六甲アイランドでターミナルを運営してきた川崎汽船も新たに参画することが決定済み。
25年以降のKICTは神戸港の外貿コンテナの約4割を扱う西日本最大規模のCTに進化する。同時にターミナルを再編し、PC14の日新が隣の同13に移転、KICTとも連携し背後地の共通ゲートを共同利用する。
引用至《日本海事報》2024年02月07日 デイリー版1面