カナダ鉄道ストライキと政府の介入
2024年8月24日、カナダ産業関係委員会(CIRB)は、連邦労働大臣にカナダの鉄道業界における組合の行動を終結させ、強制仲裁を実施する権限を与える決定を下しました。この裁定を受けて、カナダ・パシフィック・カンザスシティ鉄道会社(CPKC)とカナダ国鉄(CN)は、運行再開の準備を進めています。CPKCは8月26日から運行を再開し、組合員の復帰を求めています。ただし、鉄道ネットワークの完全復旧には数週間かかる見込みであり、サプライチェーンの安定にはさらに長い時間が必要と予想されています。
CIRBの裁定に対して、カナダ鉄道組合(TCRC)は強く反発しつつも、裁定に従う意向を示しましたが、同時に連邦裁判所に上訴することを発表しました。TCRCのポール・ブシェル議長は、この決定が危険な前例を作り、カナダの労働者の権利を弱体化させる可能性があると強調しています。組合はハリファックスで抗議活動を行い、自由党政府に強い不満を表明する予定です。
一方、カナダ国鉄(CN)はCIRBの命令に従い、仲裁期間中は現行の集団協約を維持すると発表しました。交渉の場で合意に達しなかったことに失望を示しつつも、CNはこの命令によりサプライチェーンへの影響が収束することに期待を寄せています。
政府の介入により、業界では運行正常化への期待が高まっています。バルク貨物である穀物、硫黄、カリウム肥料などが優先的に輸送される見込みですが、コンテナ貨物の輸送再開は若干遅れる可能性があります。カナダ製造業・輸出業者協会は、鉄道の停止が1日あたり数億カナダドルの損失をもたらすと警告しており、早急な運行再開を求めています。