トランプ大統領、米国向け鉄鋼・アルミに25%の関税を課す カナダ・メキシコも対象

米国のドナルド・トランプ大統領は10日(月)、行政命令に署名し、カナダやメキシコを含む全ての米国向け鉄鋼およびアルミニウムに25%の関税を課すことを決定した。この措置により、海外企業が米国市場で低価格の鉄鋼を販売することが難しくなり、国内の生産者を支援する狙いがある。これに伴い、米国の鉄鋼メーカーは製品価格を引き上げる可能性もある。

トランプ大統領は同日、2018年から適用されていたアルミニウム輸入関税を10%から25%に引き上げることを発表し、苦境にある米国のアルミ産業を支援する姿勢を示した。

今回の措置により、数百万トンに及ぶ鉄鋼およびアルミニウム輸入品に対し25%の関税が復活する。これらの製品は以前、輸入割当制度、免税措置、および数千種類の製品除外規定に基づき関税免除の対象となっていた。カナダとメキシコは、米国の鉄鋼輸入量の約40%を供給しており、今回の決定の影響を大きく受けると見られる。

この発表は、トランプ大統領が2018年3月に導入した「通商拡大法」(Trade Expansion Act)第232条関税の延長にあたり、米国内の鉄鋼およびアルミニウム製造業を保護することを目的としている。ホワイトハウスの関係者は、これまでの免税措置が本来の目的を弱めていたと指摘した。

さらにトランプ大統領は、新たな北米基準を導入することを発表。これにより、輸入される鉄鋼は北米地域内で「溶解・鋳造」されたものであること、アルミニウムは「精錬・鋳造」されたものであることが求められる。これは、中国からの低コスト加工鉄鋼の流入を抑制する狙いがある。

今回の命令は、輸入鋼材を使用した下流の鉄鋼製品にも関税を課すことを含んでいる。

トランプ大統領の貿易顧問であるピーター・ナバロ氏は、「この措置は米国の鉄鋼・アルミ産業を支援し、経済および国家安全保障を強化するものだ」と述べた。

ナバロ氏は記者会見で、「『鉄鋼・アルミ関税2.0』により、外国からの不当廉売を阻止し、国内生産を促進する。これにより、鉄鋼およびアルミ産業が米国の経済と国家安全保障の重要な柱として確立される。これは単なる貿易の問題ではなく、米国が鉄鋼・アルミなどの重要産業において外国依存を回避するための施策だ」と強調した。

また、トランプ大統領は同日、今週中に「相互関税」(Reciprocal Tariff)を発表すると述べた。これは、米国製品に対して関税を課す国に対し、米国も同様の関税を課すという方針を意味している。

© Copyright - 高甲實業有限公司
- design by Morcept