中古船市場1―3月、日本船主41隻売却。1300億円、円安・船価高 追い風

米国の運航管理システム大手ベソン・ノーティカルが集計した日本船主の1―3月の中古船売却実績は41隻、8億6313万ドル(約1300億円)となり、アジアの船主国でトップとなった。中古船価高騰と円安ドル高による売船益の拡大を追い風に、日本船主が保有船の売却を積極的に進めたとみられる。一方、バイヤー(購入者)側は中国船主が74隻、23億3167万ドルを購入し、アジア最大の買船国となった。

「昨年まで多くの日本船主は船価高騰で新造リプレースが難しいことから、保有船の売却を手控えていた。しかし、今年に入り『もう待てない』という雰囲気が高まり、売船に踏み切る船主が増えている」

中古船市場関係者は船主の傾向をそう指摘する。

1―3月売買実績はベソン・グループで船価鑑定を手掛ける英ベッセルズ・バリュー(VV)のデータを基に集計された。

アジア船主の1―3月売船実績は計162隻、36億5300万ドル。前年同期に比べて隻数ベースでは65%減少したが、船価高と高付加価値船の増加により資産価値ベースでは17%増加した。

主な船種別の売却実績はバルカー103隻▽コンテナ船11隻▽LPG(液化石油ガス)船6隻▽タンカー28隻。

アジア船主国の売船実績上位5カ国は、トップの日本に続いて中国40隻、8億2577万ドル▽韓国23隻、7億2660万ドル▽シンガポール21隻、5億4960万ドル▽香港18隻、4億5802万ドル。

■貨物の裏付け

バイヤー側を見ると、1―3月の主なアジア船主国別の買船実績は、首位の中国に続いて韓国16隻、8億4399万ドル▽シンガポール15隻、3億9604万ドル▽インドネシア14隻、2億3180万ドル▽台湾1隻、1億3216万ドル▽ベトナム9隻、1億2140万ドル―となっている。

首位の中国船主の中でも、特に香港やシンガポールに営業拠点を有し、ボーキサイトなどの貨物を潤沢に確保している船主が活発に買船に動いている。このほか、「一部の韓国船主などは中古船価のさらなる先高観を見据えた投機的な狙いもあるようだ」(市場関係者)。

企業別の買船トップ5社(資産価値ベース)は韓国船主シノコー8隻、4億4490万ドル▽韓国船社パンオーシャン4隻、2億6150万ドル▽中国リース大手ICBCファイナンシャルリーシング1隻、2億3257万ドル▽シンガポール船主ウイニング・シッピング6隻、2億612万ドル▽中国エネルギー企業Jovoエナジー2隻、1億8000万ドル。

 

引用至《日本海事報》 2024年04月30日デイリー版1面

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