ONE、新造13,000 TEU級「ONE Sapphire」引き渡し - 次世代燃料と環境対応で持続可能な海運目指す

Ocean Network Express(ONE)は、6月12日、今治造船(丸亀工場)において新造コンテナ船「ONE Sapphire」の引き渡しを受けたと発表した。これは、同社が進める環境負荷低減と運航効率化を目的とした次世代船隊拡充計画の一環である。

「ONE Sapphire」は、13,000 TEU級(全長335.94メートル、幅51メートル、深さ30.1メートル、総トン数約140,233 GT)の大型コンテナ船で、将来的なメタノール・アンモニア燃料への転換が可能な設計を採用。さらに、炭素回収装置(CCS)の搭載にも対応できる構造で、温室効果ガス排出削減を強力に推進する仕様となっている。

省エネルギー対策として、ツイストラダー(節水型舵)、ハイブリッド型排ガス処理装置(EGCS)、排ガス再循環装置(EGR)を標準装備。加えて、バラスト水処理装置や、船舶解体時に香港条約の規定に適合する構造も備えている。ONEによると、これらの仕様により、従来型船舶に比べCO₂排出量は約60%削減できる見込みだ。

「ONE Sapphire」は、ONEの次世代環境対応船20隻建造計画の第6船目で、主にアジア〜欧州航路への投入が予定されている。同社は「持続可能な物流ネットワークの構築を進める中で、日本造船業の技術と協働し、脱炭素社会の実現に貢献していく」とコメントしている。

硫黄島米陸軍空母「USS George Washington」、横須賀出港しフィリピン海へ展開

米海軍原子力空母『ジョージ・ワシントン(USS George Washington, CVN‑73)』が16日、母港の横須賀を出港し、フィリピン海での演習活動に参加するため展開を開始したと、米国海軍情報サイトが発表した。

  • この展開は、インド太平洋地域における抑止力の維持と、同盟国との連携強化が目的であり、日本近海での存在感を示すものとみられている。

  • 空母打撃群の派遣は、商船の航行自由や海上安全保障を意識した動きであり、民間海運活動にも潜在的な安心感を与える効果が期待される。

米中関税緩和で北米航路に出荷ラッシュ、運賃は3倍に急騰

米中両国が90日間の関税緩和措置を発表したことを受け、中国から北米への出荷が急増し、海運業界ではスペースの確保が困難な状況となっている。

業界関係者によれば、遠東から北米への航路では、コンテナスペースの需要が通常の3倍に達し、5月の予約はすでに満杯となっている。6月の予約については、価格提示なしでの受付となっており、運賃は通常の3倍、40フィートコンテナあたり1万ドルを超える水準に達している。

このような状況を受けて、主要な海運会社は北米航路への船舶の再配置を進めており、長榮海運は他の航路から大型船舶を北米航路に投入している。

一方、欧州の主要港では、労働力不足や内陸輸送の制約により、港湾の混雑が悪化しており、ドイツのブレーメン港では待機時間が77%増加している。このような港湾の混雑は、アジアや米国への影響も懸念されている。

港湾、出荷ラッシュに対応 海運業界で「スペース争奪戦」運賃は急騰、6月にはさらに60%上昇の可能性も

中国の主要港湾では、輸出業者が急増する出荷需要に対応するため、コンテナスペースの確保に奔走している。この「スペース争奪戦」により、海運運賃は急騰し、6月にはさらに60%の上昇が予想されている。

業界関係者によれば、最近の貨物量は「洪水のように突然増加」し、バイヤーはパニック的な在庫確保に走っているという。この急激な需要増により、船会社は運賃を引き上げざるを得ず、今後も価格の上昇が続く見込みである。

このような状況は、輸出業者や物流企業にとって大きな課題となっており、効率的なスペース確保とコスト管理が求められている。

520前夜に「経済制裁」発動──中国、台湾産POMに反ダンピング税を課すと発表

【北京発】台湾の頼清徳総統の就任1周年を目前に控えた本日(5月18日)、中国当局は突如、2025年5月19日より台湾、米国、EU、日本から輸入される共重合ポリオキシメチレン(POM)に対して反ダンピング税を正式に課すと発表した。この措置は、台湾に対する「経済的威圧」の一環と見なされており、新政権の就任記念日を前にして中国が対台経済圧力を意図的に強めた動きと捉えられている。

中国商務部の公告によると、1年間にわたる調査の結果、台湾を含む各地域からのPOM輸入に「ダンピング行為」が認められ、中国本土の同産業に実質的な損害を与えていると判断。さらに、ダンピングと損害の間には「因果関係」があると結論づけた。税の適用期間は5年間で、2025年5月19日から正式に施行される。

今回対象となった台湾企業には、台灣寶理塑膠股份有限公司(Polyplastics Taiwan Co., Ltd.)が3.8%、台灣塑膠工業股份有限公司(Formosa Plastics Corporation)は4%の税率が課され、その他の台湾企業には最大32.6%という懲罰的な税率が適用される見込みで、中国側が特定企業に対して選別的な対応を取っていることが浮き彫りとなった。

共重合ポリオキシメチレン(POM)は高性能エンジニアリングプラスチックの一種であり、高い機械的強度、疲労耐性、クリープ耐性を備え、自動車部品、産業機械、電子・電機、建材、医療機器など広範な分野で使用されている。一部の金属材料に代わる中間素材としても注目されており、台湾はこの分野で高い市場シェアと技術優位性を有している。

経緯を振り返ると、中国は2023年5月19日──すなわち頼清徳氏が副総統として初めて迎える「520」前夜──に台湾・米・日・欧州からのPOM輸入に対する反ダンピング調査を開始し、2024年1月16日からは保証金方式による暫定的な措置を導入していた。そして今回、「520」前日に正式決定を下したことで、その政治的タイミングに注目が集まり、台湾の産業界および政界に警戒感が広がっている。

この措置に関して経済専門家は、「特定素材・特定企業」を標的とした懲罰関税は戦略的な意味合いが強く、台湾の中間製造業者に打撃を与えるだけでなく、国際顧客からの信頼や受注の安定性を損なわせることで、台湾のサプライチェーン全体に圧力をかける「グレーゾーン経済戦」の一手段だと指摘している。

台湾のみならず、米国のTicona Polymers, Inc.および他の米企業には74.9%、欧州のCelanese Production Germany GmbH & Co. KGおよびその他企業には34.5%、日本では宝理塑料株式会社に35.5%、旭化成株式会社には24.5%の反ダンピング税が課されることとなった。

近年、中国は台湾に対する言論戦・軍事的威嚇を強める中で、今回のような経済的圧力を追加することで、対台湾政策における「政治・経済の協調的な戦略モデル」を推し進めている。専門家は、今後も中国が台湾の「技術依存度の高い重要産業」に対する反ダンピングや非関税障壁をさらに拡大し、台湾の経済的強靭性および国際供給網における役割を弱体化させようとする可能性があると見ている。

中米関税緩和で中国の輸出業者に注文殺到、海運業界に活気

中米両国が関税政策を大幅に緩和したことにより、中国の輸出業者は米国からの注文が急増し、海運業界に活気が戻っている。

5月12日、ジュネーブでの中米経済貿易会談の共同声明が発表され、両国は互いに91%の関税を撤廃し、24%の相互関税を90日間停止することに合意した。

これを受けて、深圳のある輸出企業では、半日で6件の米国からの緊急注文を受け、「できるだけ早く出荷してほしい」との要望が相次いだ。

また、上海の国際物流企業では、顧客からの問い合わせが殺到し、米国の貨物代理店の創業者ライアン・ピーターソン氏はSNSで「海運のピークに備えよう」と呼びかけている。

このような動きは、海運業界にとって明るい兆しとなっており、今後の動向に注目が集まっている。

米国の高関税政策、中国からの貨物船がゼロに

米国が中国からの大多数の商品に対して145%の関税を課すと発表した後、中国から米国西海岸への貨物船の数が急減し、5月9日には「ゼロ船便」という異常事態が発生した。

この影響で、米国の港湾は高度な警戒態勢に入り、供給チェーンに大きな混乱が生じている。

また、米国の主要港であるポートランド港では、輸出量が50.4%減少し、過去最大の下落幅を記録した。

このような状況は、米国の小売業者にとって在庫不足のリスクを高めており、今後の市場動向に注目が集まっている。

ヘパグロイド、アジア・オセアニア発ラテンアメリカ向け海上運賃を引き上げ

ドイツの大手海運会社ヘパグロイド(Hapag-Lloyd)はこのほど、アジアおよびオセアニア地域からラテンアメリカ向けの海上運賃(General Rate Increase=GRI)を引き上げると発表した。新料金は2025年5月8日出港分より適用される。

対象は20フィートおよび40フィートのドライコンテナ、ハイキューブコンテナ、ならびに非稼働の冷蔵コンテナであり、以下のような引き上げが実施される:

  • 20フィートドライコンテナ:500米ドル

  • 40フィートドライコンテナ:1,000米ドル

  • 40フィートハイキューブコンテナ:1,000米ドル

  • 40フィート非稼働冷蔵コンテナ:1,000米ドル

なお、プエルトリコおよびアメリカ領ヴァージン諸島向けの新料金は、2025年5月24日より適用される予定である。

同社は、運賃改定の背景として燃料費の上昇およびサービス維持の必要性を挙げており、今後の市場動向を注視する必要があるとされる。荷主およびフォワーダー各社には、影響の把握と対応が求められる。

台湾、対米輸出品に原産地声明を義務化 5月7日からMIT製品対象

【台北=本紙特派員】台湾経済部は、2025年5月7日より、台湾製(MIT)製品を米国へ輸出する際に「対米輸出貨物原産地声明書」の添付を義務付けると発表した。米国が導入した対等関税政策によって生じる各国間の税率差を背景に、第三国製品が台湾を経由して米国へ迂回輸出されるリスクを抑制するのが狙い。

米国の新たな関税措置により、高関税対象国から低関税国へと製品が流入し、産地表示の改ざんや簡易加工を経て米国へ輸出される懸念が広がっている。台湾経済部は、こうした不正な「原産地ロンダリング」が台湾経由で行われた場合、国際的信用の毀損および米国との通商交渉に悪影響を及ぼす恐れがあるとして対策を講じた。

経済部は「MIT製品は真にMITであるべきだ」と強調し、声明書の提出は輸出制限を目的とするものではなく、不正防止と台湾の貿易秩序の維持を図るための措置であると説明した。

また、企業支援の一環として、経済部は4月24日、米国の法律専門家を招いて原産地規則や通関手続きに関する説明会を開催。3,000人以上の輸出業者が参加し、米国税関における判定事例などについての質疑応答が行われた。参加者からは「実務に直結する有益な内容だった」と高い評価を受けた。

経済部は今後も米国の通商政策動向を注視し、必要に応じて追加の説明会を開催するとしている。さらに、輸出企業に対し、米国の取引先との事前協議や、米国税関・国境警備局(CBP)のウェブサイト(https://www.cbp.gov/)を通じた原産地事前審査の申請を推奨している。

イラン・シャヒードラジャイ港爆発事故、死者40人に 大統領「港の管理体制は容認できない」と徹底調査を指示

【2025年4月28日】
イラン南部ホルモズガン州の州知事によると、アッバース港(シャヒードラジャイ港)で発生した爆発事故により、これまでに40人が死亡、負傷者は1200人に上った。イラン政府は4月28日を全国哀悼の日と定めた。
同州当局によれば、現時点では爆発が国家安全保障関連の事案と結びついている兆候はないという。

また、イラン議会民事委員会の責任者は、爆発により1万個以上のコンテナが焼失した可能性があると述べた。
業界関係者は、同港の運営に支障が出れば、イラン経済および地域貿易網に深刻な影響を及ぼす恐れがあると指摘している。

イラン・イスラム共和国通信(IRNA)によると、イランのペゼシキアン大統領は27日夜、ホルモズガン州バンダレ・アッバースで開かれた危機管理会議で「シャヒードラジャイ港の管理状況は到底容認できない」と強く非難し、爆発原因の徹底調査を指示した。
同港には長年にわたり12万〜14万個のコンテナが保管されており、これが港の混乱を招いていると指摘。ペゼシキアン大統領は被害を受けた家族への全面的支援も指示した。

政府報道官モハジャラニ氏も27日に、28日を全国哀悼の日とすることを正式発表。
さらに、最高指導者ハメネイ師は、爆発事故の徹底調査を命じ、「過失や故意の行為に対しては決して寛容を示さない」と強調した。

イラン労働通信(ILNA)など複数メディアによると、複数のコンテナが爆発を起こし、これが今回の事故の引き金となった可能性がある。イラン緊急管理機構の広報官によれば、化学物質の不適切な保管が爆発原因とみられているものの、正式な原因はまだ特定されていない。

またモハジャラニ政府報道官は、「爆発したのは化学物質を含む可能性のあるコンテナだった」と説明。現地の危機管理担当者も、港に保管されていた複数のコンテナ爆発が大爆発につながったと明らかにしている。

一方、27日午前にはシャヒードラジャイ港の一部区域において、貨物の輸出入作業が再開された。イラン道路・都市開発相は「港の他のエリアでは荷役作業は正常に行われている」と述べた。

なお、近年、危険物の申告漏れや虚偽申告による船舶火災・爆発事故が相次いでおり、摘発された場合、関係者には巨額の罰金や重い刑事責任が科されるケースも増加している。

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