SMTB・政投銀・SBI新生銀、商船三井に移行ローン。海運初、国が利子補給。地銀など11行参加、成果連動型

三井住友信託銀行(SMTB)と日本政策投資銀行(政投銀)、SBI新生銀行は25日、共同アレンジャーとして商船三井向けにシンジケーション方式の「トランジション(移行)リンクローン融資契約」を組成したと発表した。同3社に加えてりそな銀行と住友生命保険、地銀9行が協調融資に参画。経済産業省の「トランジション推進のための成果連動型利子補給制度」を活用し、GHG(温室効果ガス)削減目標の達成度に応じて国が利子を補給し、金利を最大0・2%引き下げる。

経産省の利子補給制度を活用したトランジションリンクローンは海運業界で初めて。今回の融資額は明らかにされていない。

同制度は産業競争力強化法(産強法)に基づき、利下げ原資として、国が日本政策金融公庫を通じ、指定金融機関に対して最長10年間にわたり利子を補給する。

具体的には事業所管大臣の計画認定を受けた事業者に対し、0・1%幅の利下げを実施した上で、計画期間中に目標を達成できた場合、最大0・2%幅まで利下げを行う。

商船三井は3月28日、国土交通相から産強法に基づく事業適応計画の認定を取得している。

今回の融資契約は、商船三井のトランジション戦略と整合したKPI(重要業績評価指標)とサステナビリティ・パフォーマンスターゲット(SPT)を設定し、達成度に応じて金利を引き下げる。第三者評価機関はDNVビジネス・アシュアランス・ジャパン。

SMTB、政投銀、SBI新生銀、りそな銀、住友生命保険とともに協調融資に参加する地銀9行は、池田泉州銀行▽十八親和銀行▽常陽銀行▽東邦銀行▽八十二銀行▽北洋銀行▽北陸銀行▽北海道銀行▽武蔵野銀行。

今回の融資について、政投銀企業金融第4部の山口祐一郎課長は「融資先の商船三井に直接的な経済的メリットを提供でき、海運の脱炭素を後押しする上で大きな一歩となる。SMTB、SBI新生銀の協力なしには実現できなかった」と語る。

SMTB法人企画部の中井敬企画チーム審議役(船舶融資担当)は「われわれファイナンサーと商船三井、経産省が三位一体となり、限られた期間の中で力を合わせて実現できた。船舶ファイナンス市場での金融機関の連携拡大の意義を感じている」と述べる。

SBI新生銀スペシャルティファイナンス部営業推進役の井上みな子氏(船舶ファイナンス担当)は「協調融資の組成に当たり、全国規模の金融機関に声をかけ、海運初の意義のある案件であることを理解してもらった。国の制度を使い、お客さまに経済的メリットを提供できるウィンウィンの案件を実現できた」と話す。

 

引用至《日本海事報》2024年04月26日デイリー版1面

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